「あ…………」
恭介「え………………」
「す、鈴原…………」
恭介「あ………………」

伊賀野の顔が……すぐ目の前に……。それに…………。

「………………」
恭介「あ、あの、さ……………………」
「な……に…………?」
恭介「その……退いて……くれないかな……?」
「あ……うん……そうね…………」
恭介「………………」
「っ…………」
恭介「いが……の…………?」
「……ごめん……足……捻っちゃったみたい……」
恭介「え…………?」
「だ、だから、足、痛めちゃって動けないの!」
恭介「動けないって……」
「動けないものは動けないんだから、しょうがないでしょ!」
恭介「そりゃ、そうだけど…………」

でも、だからってこのままの体勢でいるわけにも……。

「悪かったわね……重くて……」
恭介「誰もそんな事言ってないだろ……」
「でも……難しい顔してるし……」
恭介「そ、それは…………」

実際困ってるからで……。思ったよりも軽い身体とか……。
胸元に圧し付けられる柔らかな感触だとか。そこから伝わってくる温もりとか鼓動とか。
ふんわりと漂ってくる甘い香りだとか。そういったものを意識しそうになって……。

「っ…………」
恭介「………………」
「す……鈴原………………」
恭介「え…………」
「あ、私…………」

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